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Hard work文化はもう古い。生き残るにはHard thinkを磨け|急成長MEJの組織づくりの秘訣

今回は、IT×ヘルスケア領域で急成長しているベンチャー企業、株式会社MEJが実践している組織づくりについてご紹介。

なんとMEJは、社員数2名のときから新卒採用を実施。さらに、「会議廃止、資料廃止、電話廃止」など、徹底的に生産性を高めるための制度設計をおこなっています。

なぜ、MEJはそのような取り組みをしているのか。そこには、“理念経営の実現や、“Hard think”というコアバリューが関係しています。

代表の古賀さんにインタビューさせていただき、MEJが急成長している秘訣をお伺いしました。

【人物紹介】古賀 徹 | 株式会社MEJ 代表取締役社長

福岡県出身。20歳で株式会社MEJを創業し、事業のピボットを経て、IT×ヘルスケアを主軸としたDtoCビジネスへ参入。急成長ベンチャーとして、「ベストベンチャー100」や「Best Motivation Team Award 2018」などにも表彰される。近年ではソフトバンク社の孫正義率いる「ソフトバンクアカデミア」に選出され、グローバルの起業家が集まる「EO Tokyo」の理事なども務めている。

IT×ヘルスケア領域の急成長ベンチャー、MEJとは?

-まずはMEJについて教えてください。


古賀さん
MEJは2008年に設立した会社で、現在のメイン事業は「ヘルスケアDtoC(Direct-to-Consumer)」と呼んでいるのですが、オリジナルサプリメントをECのみで販売するという、いわゆるIT×ヘルスケア領域での事業を展開しています。

おかげさまで順調に規模を拡大してきておりまして、サイトの会員数も7万人を超えてきています。また最近では「2017年度EO-Tokyo成長率No.1」や「Best Motivation Team Award 2018」などを受賞させていただいております。


-MEJは今後、どのようなことを目指されているのですか?


古賀さん
我々MEJは「社会問題を解決し、人類の進化に貢献する」ことを経営理念に掲げています。

人類は今までさまざまな問題を解決し、時代を切り開いてきました。しかし、現在でも人類は多種多様な課題を抱えています。

それは端的に言ってしまえば社会構造の歪みです。我々はその歪みを解消したいという想いを「社会的義憤」と呼んでおり、それこそが社会を、世界を変えていく原動力だと考えています。

我々は、その歪みをただ批判し眺めている傍観者ではなく、時代を切り開き世界を変えていく義憤を持った仲間が集まっています。

未来を少しでも豊かにし、人類の進化に貢献していく。それをMEJは目指しています。

MEJが少人数でも急成長できている秘訣

-今、MEJはどのくらいの組織規模なのですか?


古賀さん
正社員は10人。インターン生や業務委託を入れると20人規模です。


-そこまでの少人数で急成長できる秘訣はどこにあるのでしょうか?

主体性を生み出すためのプロジェクト制

古賀さんまず「プロジェクト制」による組織づくりが挙げられます。

MEJでは従来のピラミッド型ではなく、フラットな関係性の組織をつくっています。階層もできるだけなくしており、役職は役員だけ。それ以外は役職をなくしています。


-なぜプロジェクト制を取り入れているのですか?


古賀さん
非常にメンバーが少ないので、その分さまざまな業務を兼務しなければなりません。

そこで部署制からプロジェクト制に組織体制を変え、肩書・部署を全て廃止しました。いくつかプロジェクトがあり、メンバーが都度プロジェクトにアサインしていくイメージです。

プロジェクトがひとつだけの人もいれば、複数のプロジェクトに携わっている人もいます。そのように垣根をなくすことで、主体性を生み出しています。

社員2名でも「理念経営」の実現に向けて必要だと感じた、新卒採用

-採用は今までどのようにしてきたのですか?


古賀さん
実は一度、事業をピボットしています。そのタイミングで、当時のメンバーは役員を除いて離職してしまいました。

その後、新規事業の立ち上げをし、MEJの第二ステージが始まりますが、その際に「どうすれば良い組織がつくれるのか」と頭を抱えました。

多くの方々にアドバイスを伺ったところ、良い組織をつくるためには、自社の理念に共感する人材で組織を構築する「理念経営」が非常に重要ということが分かりました。

そこで、始めたのが新卒採用でした。当時はたった2名の会社でしたのでほとんど前例もありませんでしたが、挑戦してみようと思ったのです。

それ以来、赤字ギリギリまで新卒の採用に投資をし続けてきました。


-なぜ、新卒採用なのですか?


古賀さん
良い人材を中途で採るとなると、相当な企業力・組織力がないと応募すらありません。

一方で新卒採用であれば、企業のトップがイベントで直接自身の想いや理念を語ることで、優秀な学生から会社、個人としての共感を得られます。

また弊社はECという比較的新しい業界で、常に時代の最先端を進んでいます。新卒は未経験ではあるものの、生まれた時からITが当たり前の時代で育っています。

そんな世代だからこそ柔軟な発想を武器に、マーケティングや商品開発といった仕事で活躍できると考えています。


-社員2名のベンチャー企業で新卒採用を開始されて、結果はどうでしたか?


古賀さん
マイナビやリクナビを使って採用媒体に掲載したのですが、蓋をあけてみると3,000人ほどのエントリーを集めることができました。

そこから結果として、4名を採用することになりました。

 

-それはすごい・・・。最終的に入社された4名の方は、どんな理由で入社されたんですか?

 

古賀さん入社の決め手になったのは、間違いなく「人軸」だと思っています。とにかく私が何度も理想を語り、これから世界を変える会社を一緒につくっていこうと、熱意を全力で伝えていました。

本気でやらないと優秀な人材は採れないと思い、選考期間もかなり長くなりました。3〜4ヶ月の間で、少なくとも10回以上は学生と会いました。


-中途採用はしていないのですか?


古賀さん
現在、中途採用はヘッドハンティングのみ活用しています。

中途採用のイメージは突き抜けた人の採用です。30歳前後でハイキャリアを歩んできていて、ただこれからについて悩んでいる方ですね。

MEJの面白いところは、「真ん中」がいないことです。叩き上げの新卒か、超プロフェッショナルな30代の人のみで、真ん中の20代後半ぐらいの人がいません。

新卒を早期戦力化するために「外部のプロ人材」をフル活用する

-特に創業期の会社で若手人材の早期戦力化は急務かと思いますが、工夫されていることはありますか?


古賀さん
重要なのは成長のための機会を増やすことです。そのために「オープンイノベーション」を活用しています。

具体的にはプロ人材を外部顧問として迎え、各プロジェクトにアサインをしています。現在は人数でいうと、5~6人のプロの方に携わってもらっています。

マーケティングや商品開発、HRなど、各分野のスペシャリストをプロジェクトにアサインします。いわゆる社長レベルで年収数千万円クラスの方がきて、若手の教育をしてくれています。

そこで実際にプロのやり方を学んで即戦力化していきます。ですので、実践が研修ということで、研修は会社としては一切おこなっていません。スペシャリストと一緒に仕事をさせることが一番だと思っています。

「すべてはHard thinkにもとづく」MEJが取り組む社内制度について

-MEJには“Hard think”というコアバリューがあり、それに紐づく独特の制度があると伺っています。それぞれの制度内容や生まれた背景についてお聞かせください。

シリコンバレーで感じた、世界を代表する企業との圧倒的な基準の違い

古賀さんMEJの現在の制度をつくろうと思ったきっかけは、シリコンバレーに行ったことですね。

2015年に新卒一期生が入社して、事業もようやくグロースするフェーズに入りました。そのときに「自分がもっと成長しないと、会社も成長しない」と感じ、世界を代表する企業を知ろうと、2ヶ月間シリコンバレーやNYに赴きました。

Apple、Google、Facebookと言ったシリコンバレーを代表する企業はもちろん、現地のスタートアップ企業に訪問したり、インキュベーション施設で働いたりもしました。


-シリコンバレーの多くの企業を見て、どのようなことを学ばれたのですか?


古賀さん
シリコンバレーでの一番大きな学びは、圧倒的な基準の違いです。世界レベルで戦っている人たちのレベルの高さを痛感しました。

まず仕事に対する視点がグローバルです。日本だと国内のすごく小さなマーケットに対して仕事をしているのですが、シリコンバレーの方々は世界展開する前提で仕事をスタートさせています。

社会変革意識もものすごく強く、「こういう課題があるからこれをやらなきゃいけない」という強いや志があって、それを世界でどう展開していくかを考え抜いている人ばかりです。

本当に経営している基準がまったく違うなと感じました。


-仕事の進め方でも違いはあるのでしょうか?


古賀さん
あると思います。これはAppleに行ったときに教えてもらったのですが、「Meeting is War」と言っていて、「会議は戦争」だと。

Appleは会議中に発言しない人間がいたら二度とその会議には呼ばないと言っていました。「会議は戦争だと思うほど熱量高くやっている」という話を聞いて、「自分たちはそれぐらい熱量込めて真剣に仕事をしているのか」と自問自答したときに、全くできていなかったと痛感しました。

高い基準で本質的な部分を追求しているからこそ、生産性が高いのだと感じました。

先ほど仰っていただいたようにMEJにはHard thinkというコアバリューがあり、生産性を追求していくための指針となっているのですが、Hard thinkが生まれたきっかけとしてもシリコンバレーでの体験はものすごく意味がありました。

「このままのやり方では絶対ダメだ」と感じ、世界はもちろん、日本でも勝てるはずがないと危機感を覚えました。

Hard workの限界。勝つためには“Hard think”をすべき

オフィスに飾られているHard thinkアート

 

-MEJのコアバリュー“Hard think”について、もう少し詳しくお聞かせください。


古賀さん
我々のようなベンチャー企業は圧倒的弱者なので、“Hard work”だけではすぐに限界が来ると思ったのです。

労働力、時間、資金、情報などといった、資源が限られた中でどう戦うべきか。世界的な企業を見たときに、Hard workから脱さないと絶対に勝てないと感じました。

ただがむしゃらにHard workをすることは簡単です。しかし、それではせいぜい一般の3倍程度にしか差をつけることは出来ないでしょう。しかしHard thinkをすることで、100倍の差さえつけることができると考えたのです。

例えばInstagram。Facebookに100億ドルで買収されたとき、社員数はたったの13名です。テクノロジーの進化によって、世界にはこのような事例がどんどん出てきています。

MEJが世界を変えるためには、そういった企業にならなくてはなりません。限られた資源で最大限のインパクトを出していく、そのための我々の信念が”Hard think”なのです。

100倍のインパクトをどうすれば生み出せるのか、いかに生産性高く仕事に取り組めるのか、そのための仕組みを日々考えております。

「会議廃止、資料廃止、電話廃止」無駄を排除するための制度設計

-実際にどのような制度があるのか、教えてください。


古賀さん
Hard thinkを端的に言えば、本質を追求することです。

だからこそ我々がおこなっているのは、基本的に「無駄をなくす」アプローチになります。

「何を追加していくか」よりも、限られた資源を研ぎ澄ましてインパクトを出していくためには、無駄を排除していくことが重要です。

例えば実施している施策というと、「会議廃止」「資料廃止」「電話廃止」「定時出社廃止」などです。

従来の働き方をしている企業では、電話や会議、メールや資料作成などで、労働時間の1/3を無駄にしています。まずそれらをなくすだけで普通の会社よりも、1.5倍ほど生産性が上がります。

多くの企業はこれらの無駄を補うために残業をやむを得ないものとしているのです。

またよくあるのが、社内向けの資料、社内向け稟議といった業務で、多くの時間を使っているケースです。

本来、社会に価値を発揮するために仕事をしていて、力を注いで向き合うべきは顧客であり、世界をより良くするためにやっているのに、そのエネルギーを内側に使うのは本当にもったいない。一体、誰のための仕事なのでしょうか。

シリコンバレーでは、意味がない会議やアポを入れると「それは必要ですか?」と断られます。お互いプロフェッショナルなので、できるだけ時間を無駄にしない文化があるのです。

よく日本であるような「良かったら情報交換しましょう」のような挨拶程度の打ち合わせは絶対にNGです。何の目的か、決裁者がいるミーティングなのかを問われますし、そろっていなければ断られます。


-会議廃止となると、意思決定や情報共有はどのようにされているのですか?


古賀さん
基本は立ち話やSlackでのやりとりでおこなっています。

会議室をおさえて、しっかり会議のようなことは弊社では禁止です。一般的な会議のほとんどは情報共有をするために会議が開かれています。さらに、その報告の資料のために何時間もかけて準備をする。これでは本末転倒で、全く生産性がありません。

本来会議というものは、意思決定をすることが目的です。我々のように経営の情報共有が常にオンライン上でなされ、意思決定がチャットで誰でも、すぐにできる状態であれば、会議そのものが不要だと考えています。

その経営手法を「ダッシュボード経営」と呼んでいるのですが、MEJでは会社の数字をすべてオンライン上に公開しています。管理画面から見ると様々なプロジェクトのKPIを全て見ることができます。

メンバーが悩んでいる場合も一緒にパソコンの画面を見ながら、その場で意思決定することも容易です。


-資料もつくる必要もありませんね。


古賀さん
そうですね。基本的には「資料をつくるな」という指示をしています。もし提案があればテキストでまとめて、それを5分以内につくるよう言っています。

資料作成に時間がかかるということは、まさに内側にエネルギーを使っている状態です。資料をつくるだけでは世の中は何も変わりませんから、内側にエネルギーを使う作業は本当に意味がありません。

無駄を徹底的に排除しているからこそ、その分だけ付加価値を生み出すことができています。

我々がやっている仕組みは、生産性が上がるかどうかの一点のみを考えて作られています。全てはそれがHard thinkになっているかどうかです。

最小限の組織で最大限に課題解決ができる組織づくりを目指して

-今後のMEJの組織づくりの展望を教えてください。


古賀さん
30人の壁、100人の壁というワードをよく耳にしますが、「先手を打つ組織経営」をかなり意識しています。

「起こりうる組織の問題」を諸先輩方から聞くようにしていて、「もし今だったらどうするか」といったことを教えていただいています。

「迷ったら採用すべきじゃなかった」や「基盤がないのに組織を拡大しすぎた」など、こういう組織になったらこういうことが起こる、ということを事前に学び、理解し、それをもとに起こり得る課題に対処できる仕組みをつくっているのが現状です。

規模が大きくなると、コミュニケーションが希薄化してしまうので、社員の帰属意識を高めるための取り組みや、採用の質の担保、入社後の立ち上がりなど、その辺りが課題になってくると考えています。

その中でも例えば、我々の評価制度は1,000人規模でも耐えうるものを使っています。たった10人規模のベンチャーであれば評価制度すら不要だと思いますが、問題が起こる前に先手を打ち、重要な部分を押さえて経営をしています。


-ありがとうございます。最後に、古賀さんが考えるMEJの未来についてお伺いしたいです。


古賀さん
今はヘルスケア領域でのビジネスが中心ですが、我々がやりたいことは社会問題を解決する事業家集団になることです。

MEJには高い志を持ったメンバーばかりなので、各々が代表となり、グループ会社を増やし、多くの問題を解決できるグループ企業になりたいと考えています。

これからの時代は一社で発展し続けるのは難しいと考えています。なぜなら世界が変わるサイクルがどんどん加速し、変化に強い企業しか生き残ることが出来ないからです。

これから生き残る企業は、1社で1兆円を目指すよりも、100社で1兆円を目指したほうが、これからの時代に合っていると思います。そして、一社で数万人規模にするのではなく、数百人の事業家集団を通じて数万人規模のグループにしていきたいです。

企業とは大きくなればなるほど、無駄な業務が発生しやすくなります。そうならないように、Hard thinkのカルチャーを引き継いだまま、最小限の組織で最大限のインパクトを出す。世界を変える少数派になることこそが、我々のイメージしている組織です。

世界を豊かにする本質的な事業と、それを現実のものとできる本質的な組織でなければ、今後生き残っていくことはできないでしょう。

Hard workをやめHard thinkをしていく。それこそが生産性を高め、競争力を上げていく源泉です。そして、新たな時代のリーディングカンパニーとして、これからも邁進していきます。

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