テレワークでも残業代は当然出る|残業代削減で利用される制度の問題点と対処法 |HR NOTE

テレワークでも残業代は当然出る|残業代削減で利用される制度の問題点と対処法 |HR NOTE

テレワークでも残業代は当然出る|残業代削減で利用される制度の問題点と対処法

※本記事は、株式会社アシロの「企業法務弁護士ナビ」より語句などを一部修正したものを転載しております。

コロナウイルスの流行に伴い、2020年に入ってからテレワーク(在宅勤務)を会社から命じられた人も多いかと思います。

本記事ではテレワークと残業代の関係について簡単に解説します。

テレワークでも残業をすれば残業代は発生する

テレワークで業務を行った場合でも、その労働時間が法定労働時間を超えるようであれば、基本的には残業代の支払いが必要です。

テレワークだと残業代が出ない」と誤解している人もいるかもしれませんが、在宅勤務であるからという理由のみで残業代が発生しないという法理論はありません。

もっとも、下記でも紹介しますが、テレワーク勤務の場合、会社が労働時間の把握・管理が困難であることを理由に、みなし裁量労働時間制という特別な労働時間制度が適用されることもあります。この場合には、実労働時間の多い・少ないに拘らず、勤務時間が一定時間にみなされることになるため、実労働時間に対応する残業代が発生しないということはあり得ます。

しかし、みなし裁量労働時間制は、その強力な効果から適用が認められるかどうかは、ある程度厳格に判断されますので、単に「テレワーク」であるという理由のみで直ちに適用が許されるものではありません。

例えば、在宅での勤務が基本的にデスクワークであり、デスクで仕事をしている時間をオンラインで管理・把握できるという場合には、みなし裁量労働時間制は適用できないと判断される可能性は相当程度あると思われます。

企業側が行うテレワーク社員の労働時間管理

テレワークを実施する場合、企業側としては労働者の労働時間管理をどのように行ってくるのでしょうか。

在宅勤務中の労働時間について、労働者に全面的に委ねてしまうと勤務がないのに勤務をしたと報告されたり、結果、「過剰な残業代が請求されたりするかもしれない」というリスクは当然考えています。

他方で、労働者の労働時間を全く管理せず、一律に定時と取り扱うことも違法の可能性があります。そのため、在宅勤務中の労働者の労働時間をどのように管理するかは、企業にとって切実な問題です。

労働時間管理の例として、

  • 在宅勤務中の労働者に始業のタイミング
  • 休憩のタイミング
  • 終業のタイミング

で、毎日Emailによる報告をさせるという方法、労働者に1日の具体的なタイムスケジュールを作成させる方法、定時を超えて勤務する場合には必ず事前連絡をして残業の可否について許可を取らせる方法などが考えられます。

どのような管理が適切かは、業種・業態で異なり得ますので、自身の会社に合った方法を選択したいところです。

テレワーク社員に活用されやすい労働時間制度

テレワークに活用することがあり得る労働時間制度としては以下のような制度があります。

  • 裁量労働制
  • 事業場外労働のみなし労働時間制
  • フレックスタイム制

間違った導入・運用がされやすい制度なため、簡単に仕組みを理解しておきましょう。

裁量労働制

裁量労働制とは、実労働時間に関係なく、決められた一定時間働いたとみなす制度です

裁量労働制の下では、労働者が労働時間の拘束なく業務に従事できる反面、その労働時間は一定時間とみなされます。そのため、使用者の指揮命令が希薄な在宅勤務とは相性のよい労働時間制度といえます。

ただし、裁量労働制は適用範囲や導入要件がある程度厳格に決められています。

裁量労働制が適用できる職種例

  • デザイナー
  • 放送番組ディレクター
  • コピーライター
  • システムコンサルタント
  • 証券アナリスト
  • 公認会計士
  • 企業の中核を担う部門で企画立案を行う労働者 など

実際に導入を検討する場合には、弁護士などの専門家に相談して進めるべきでしょう。

【関連記事】裁量労働制とは|今話題の自由な働き方に隠れた5つの問題点と対処法

事業場外みなし労働時間制

事業場外労働のみなし労働時間制とは、社外で業務を行う労働者の労働時間を把握することが困難な場合に、実労働時間にかかわらずその労働時間を一定時間とみなしてしまう制度です。

テレワークはオフィス外での勤務であるため、テレワーク勤務者の労働時間の把握が困難な事情があれば、事業場外みなし労働時間制を適用することはあり得ると思われます。しかし、同制度の適用が可能なのは、労働者の労働時間の把握が客観的に困難であることです。現在は、インターネットを通じて在宅勤務者の勤務状況もある程度明確に把握することができる場合が多いと思われます。そのため、在宅勤務者に同制度が適用できるかどうかは、するべきかどうかは、慎重に判断するべきでしょう。

たとえば、厚労省は在宅勤務者に事業場外みなし労働時間制を適用できるのは、以下の要件を全て満たす場合であるとの指針を出していますので、参考にしてみてください。

  1. その業務が、起居寝食など私生活を営む自宅で行われること
  2. その業務に用いる情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと(単にインターネット回線が接続されているだけで労働者が情報通信機器から離れることが自由である場合はこれに含まれるとされています。)。
  3. その業務が、随時使用z者の具体的な指示に基づいて行われていないこと

【関連記事】みなし労働時間制とは何か?わかりやすく解説

フレックスタイム制

フレックスタイム制もテレワークとは相性が良い制度です。

フレックスタイム制は業務の始業・終業の時刻を労働者の裁量的判断に委ねる労働時間制度です。在宅勤務の場合、出社・退社という概念がないため、業務をいつ始めるか、いつ終わるかは労働者の自由判断に委ねる方がスムーズである場合も多いと思われます。このような場合はフレックスタイム制を導入することで、始業・終業の管理を柔軟に行うことができます。

もっとも、フレックスタイム制は裁量労働制やみなし労働時間制のように、労働者の労働時間を一定時間にみなすような効果はありません。

  • そのため、フレックスタイム制をて供する場合は、労働者の日々の労働時間をある程度厳格に管理する必要がありますので、この点は注意しましょう。

なお、フレックスタイム制を導入するには、就業規則等への規定と労使協定の締結などの諸々の手続きが必要です。適性に導入するためには、弁護士等の専門家のアドバイスを受けることも検討しましょう。

【関連記事】フレックスタイム制の仕組みと実態から見る残業代が発生した場合の対策

テレワーク時の残業代に関する会社の対応に疑問を感じたときにすべきこと

急にテレワークを始めることが決まったような場合、会社側も十分な準備をすることができず、対応を誤ることもあるかもしれません。以下、会社の対応に疑問を覚える場合の対応について簡単に解説します。

就業規則や関係規則を確認する

会社が新たに労働時間制度を導入する場合、基本的には就業規則にこの点を定めることがほとんどです。

会社が新たな労働時間制度を適用するような場合、どのような制度設計がされているのかについて、就業規則を確認しても良いかもしれません。

【関連記事】就業規則を見たことない…就業規則の周知義務を無視された場合の対処法

実際の労働時間を記録しておく

在宅勤務であっても残業代の請求があり得ることは上記のとおりです。

もし、会社が残業代を不当に支払っていないという場合、これを請求する場合には残業をしたことを労働者側で立証する必要があります

そのため、後々に未払いとなっている残業代の請求をしたいと考えているのであれば、日々の働いた時間をしっかりと記録しておくことが大切です。

このような労働時間の記録は、会社が用意している勤務記録があればそれで行うべきですが、このようなものがなければEmailで始業・終業の報告をする、日々のタイムスケジュールを記録しておくなどの自主的な方法で、労働時間を記録しておきましょう。

労働時間の記録以外の証拠も集めておく

残業代の請求もそうですが、会社の対応について弁護士や労基署に相談する場合には、雇用契約に関する基本的な資料も持参していきたいところです。例えば、以下のような資料です。

  • 給与明細
  • 就業規則
  • 雇用契約書

【関連記事】
残業代請求時に認められやすい証拠と、証拠がない時の対処方法
残業代におけるタイムカードの重要性とは|ない場合と残業時間の証明に役立つ証拠

労働基準監督署・労働局に相談する

会社の対応に疑問を感じたら、労働基準監督署や労働局に相談へ行くのは一つの手です。

会社の対応におかしな点があっても、それが問題かどうか判断するには法律に関する知識がないと難しいといえます。

労基署や労働局では労働問題について法律に基づいた助言をしてくれます。

とりあえず現在の状況に対する相談・アドバイスを受けたいという場合には、労基署・労働局に設置してある「総合労働相談コーナー」を活用してみるとよいでしょう。

【関連記事】
労働基準監督署へ不当解雇の相談は有効?労基署の対応を詳しく解説
労働基準監督署と未払い残業代請求|相談・申告・斡旋は有効?
労働基準監督署に相談できる事とは?労基署へ行く前に確認すべき6つの事

弁護士に相談する

弁護士も法律問題の専門家であるため、相談先としては有力です。特に、会社に対して何かしら請求したいという場合には、労基署よりも弁護士の方がベターでしょう。

例えば、会社が残業代の支払いをしておらず、未払い残業代を請求したいという場合には、弁護士に相談するべきです。

なお、実際に弁護士に依頼する場合には当然費用が発生します。

費用倒れになってしまうような金額しか残業代を請求できない場合には、依頼を受けてもらえない可能性もあるので注意しましょう。

【関連記事】
残業代請求が得意な弁護士に無料相談【電話/メール可能】
残業代の平均はいくら?年代・業界別に詳しく比較【2020年最新版】

昨今のコロナ情勢で収入が減ったときは

現在、コロナウイルス流行に伴う収入減に対しては、様々な支援制度が実施されています。

実際に制度の利用が可能かはわかりませんが、万が一に備えて、どのような制度があるかを把握しておいて損はありません。

【現在行われている労働者向け支援】

  • 傷病手当金
  • 休業手当
  • 小学校休業等対応支援金
  • 緊急小口資金・総合支援資金
  • 特別労働相談窓口等

詳しくはそれぞれのリンク先または下記PDFをご覧ください。

参考:新型コロナウイルス感染症の影響を受ける働く皆さまへ – 厚生労働省

また、これまで通勤にかかっていた時間を活用して、副業を始めるのも一つの選択肢。副業には会社の許可が必要な場合も多いので、検討する場合には会社に相談しながら進めるほうがベターです。

まとめ

テレワークについて簡単に解説しました。

テレワークと親和的な制度としても以下について解説しました。

  • 裁量労働制
  • 事業場外労働のみなし労働時間制
  • フレックスタイム制

もしテレワーク時の会社の対応に疑問を覚えるようであれば、労働基準監督署や弁護士に相談することも検討してみてください。

この記事の監修者
梅澤 康二氏 :アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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