内部通報窓口とは|メリット・設置時のポイント・通報時の対応を解説 |HR NOTE

内部通報窓口とは|メリット・設置時のポイント・通報時の対応を解説 |HR NOTE

内部通報窓口とは|メリット・設置時のポイント・通報時の対応を解説

健全な経営体制を構築するためにも、企業としては内部通報窓口を設置しておくのが良いでしょう。2016年に消費者庁が行った『平成 28 年度 民間事業者における内部通報制度の実態調査報告書(以下、「実態調査報告書」』によると、「従業員が1,000人を超える企業の90%以上が内部通報窓口を設置している」との調査結果も出ています。

一方、従業員が300人以下の企業は40%にとどまり、100人以下は25%を下回るという結果となっています。内部通報制度については、今後すべての企業に対応が義務化される可能性もあるため、現在未対応の企業については今のうちに設置体制を整えておくことをおすすめします。

この記事では、内部通報窓口の基礎知識・メリット・設置方法・設置時のポイントなどを解説します。

内部通報窓口とは

まずは、内部通報窓口の目的・必要性・内部告発との違いなど、基本知識について解説します。

目的

内部通報窓口は、企業にとっての不祥事を早期発見・早期対応することを目的に設置します。内部通報窓口を設置することで、不正リスクに対する自浄作用を高めることができるため、より公正かつ透明性の高い企業経営が図れます。

必要性

もし内部通報窓口が設置されていない場合、企業内部での不正リスクを十分に把握することができないため、不正会計データ隠ぺいセクハラパワハラなどの不正または不適切行為が横行する恐れがあります。場合によっては、大規模な業績悪化に陥ったり、社会的信用の大幅な低下などに繋がったりすることも考えられます。

2006年4月に「公益通報者保護法」が施行され、通報者が法的に保護されることにより、企業や団体などの不正を内部から通報しやすい環境が整いました。また2019年5月には、ハラスメント対策などを定めた「ハラスメント規制法案」が成立しており、2020年春より適用開始される予定です。

今後の流れとして、さらに内部通報窓口の必要性が高まることが予想されます。

内部告発との違い

内部通報と似たものとして内部告発というものもあります。ともに「企業の不正行為や法令違反などについて情報提供する」という点では共通していますが、通報先や通報内容などの点で以下のように異なります。

  • 内部通報…企業が設置する通報窓口に対して、不正行為や法令違反などの通報や、疑問点の相談などを行う
  • 内部告発…行政・司法、マスコミなどの外部に対して、不正行為や法令違反などの情報提供を行う

内部通報窓口を設置する3つのメリット

内部通報窓口を設置することで、主に以下のようなメリットが見込めます。ここでは、それぞれのメリットについて解説します。

  • 不祥事を予防できる
  • 不祥事による被害が拡大する前に対応できる
  • 取引先や顧客からの評価材料となる

不祥事を予防できる

内部通報窓口を設置することで、社員などに対して「不正行為を行うと通報される」という意識付けができるため、社内でのコンプライアンス意識の向上が望めます。万が一、社員のなかに不正行為を行う動機を持つ者がいたとしても、内部通報窓口があることで抑止力が働き、未然に芽を摘むことができます。

不祥事による被害が拡大する前に対応できる

もし社内で横領などの不正行為が発生したとしても、内部通報窓口があることで被害が大きくなる前に発見し、対処することができます。また企業内部に窓口を設けておくことで、労働基準監督署やマスコミに直接通報されて社会的信用が失墜する、などのリスクも避けられます。

今後の取引で有利になる可能性がある

内部通報は、相手企業が取引先を選ぶ際の一つのポイントになっていく可能性が高いでしょう。

『平成 28 年度実態調査報告書』のアンケートでは、契約先の内部通報制度を考慮している企業が約30%を占め、今後考慮することを検討している企業は全体の55%に上りました。

(参考:平成 28 年度民間事業者における内部通報制度の実態調査報告書)

そのため、将来的に取引先の内部通報制度を考慮し、契約するかを検討する企業は増えていくでしょう。できるだけ早い段階で整備・運用を行うことで実績がうまれます。他企業と差をつけるためにも早めの対応がおすすめです。

内部通報窓口の設置方法と注意点

内部通報窓口の設置方法としては、社内のみ・社外のみ・両方に設置の3パターンがあります。

ちなみに『平成 28 年度実態調査報告書』では、内部通報窓口を設置する企業の約60%が「社内外いずれにも設置している」と回答しています。ここでは、設置方法や注意点を解説します。

(参考:平成28年度民間事業者における内部通報制度の実態調査報告書)

社内のみに内部通報窓口を設置する

社内に設置する場合は、総務・法務・人事・監査などの管理部門が担当することになるでしょう。社外に設置する場合と比べて、「設置にかかる手間や費用などが小さく済む」という点がメリットとして挙げられますが、なかには「周囲に通報内容が漏れるのではないか」などと不安を感じる社員もいる恐れがあります。

社外のみに内部通報窓口を設置する

社外に設置する場合は、法律事務所・親会社・関連会社・専門業者などが担当することになるでしょう。社内に設置する場合と比べて、「社員が安心して通報・相談できる」や「専門性に基づいた適正な受付・連絡ができる」という点がメリットとして挙げられますが、設置にかかる手間や費用などが大きくかかるという点は注意が必要です。

社内外に内部通報窓口を設置する

社内外に設置する場合は、上記2つのケースを併用して整備・運用することになります。

そのぶん手間や費用はかかってしまいますが、「秘密保持がより徹底され、経営陣からの独立性も保たれ、確実なリスク対策ができる」という点は大きなメリットと言えるでしょう。

内部通報窓口を設置する際の4つのポイント

内部通報窓口の設置にあたっては、以下4つのポイントを押さえておくべきでしょう。ここでは、それぞれのポイントについて解説します。

  • 通報者保護体制を整備する
  • 制度担当者の人材育成
  • 役員や社員へ内部通報窓口の役目や利用方法の周知を徹底する
  • 通報後の対応体制を規定

通報者保護体制を整備する

まず最も大きなポイントとして、通報者が安心して通報できる体制の整備・構築が挙げられます。通報者の情報が筒抜けになっているような状態では、「通報を知った上司から何かされるのではないか」「昇進に影響するのではないか」と不安を感じ、通報を躊躇されて十分に機能しないことが考えられます。

そのような事態を避けるためにも、通報者氏名や通報事実などの「通報者が特定されかねない情報は開示しない」という旨を定めておく必要があります。またケースに応じて、匿名での通報も可能とするなどの対応も考慮するべきでしょう。通報者が不利益な扱いを受けないことを内部規定で明確に定めることも必要です。

制度担当者の人材育成

内部通報制度の運用においては担当者のスキル情報管理が重要です。内部通報制度の整備・運用に関する知識や経験を有し、制度の適切な整備・運用、事業者に対する指導・助言を適切に実施しうる人材を育成することが求められます。

社員へ内部通報窓口の役目や利用方法の周知を徹底する

内部通報窓口が適切に運用されるためには、通報者となる社員に対して「内部通報窓口とはどのような制度なのか」「どのように利用するのか」など、制度の信頼性と理解を周知徹底することが重要です。

周知方法としては、内部通報窓口の役割や利用方法などについて記載した社内報を作成したり、定期的に研修を行ったりするなどの方法があります。なお弁護士であれば、研修対応なども依頼することができます。過去の実例紹介や法律問題の解説なども交えながら、社員に対して理解度の向上が望めるでしょう。

通報後の対応体制を規定

内部通報があった場合は、迅速かつ適切に調査が必要かを検討・判断し、対処しなければなりません。しかし「誰が調査するのか決まっていない」「調査方法があいまい」などの状態では、対応が遅れて解決まで長引いたり、対応を誤って被害が拡大したりする恐れがあります。調査の実行には専門的な知識と経験が必要です。

したがって窓口設置にあたっては、調査実行者や調査方法など、相談後の対応体制についても事前に規定しておく必要があるでしょう。弁護士などの専門家の助言を得ることも必要です。

内部通報窓口に通報があった場合の対応

『平成 28 年度実態調査報告書』によると、窓口に寄せられる通報としては、パワハラやセクハラ・人間関係などの悩み・社内での規則違反などに関する内容が多いようです。企業としては速やかに通報内容を確認し、ケースに応じて対応する必要があります。

内部通報窓口に通報があった場合は、主に以下の流れで対応することになります。ここでは、通報時の対応内容について解説します。

  1. 通報者への受領通知・内容確認
  2. 調査の実施
  3. 是正措置・処分対応

通報者への受領通知・内容確認

主な通報方法としては、メール・電話・書面・面談などが挙げられます。

ただしメールや書面などで通報された場合については、通報者は通報が受領されたか確認できないため、まずは「通報を受領した」という旨を通知する必要があります。次に、通報内容を確認して「調査を行うべきか否か」を判断したのち、今後の対応について通報者へ通知します。

なお注意点として、通報が入った場合は初動対応が重要となります。

例として、十分に検討せずに「調査不要」と判断した場合や調査判断が遅れた場合などは、通報者が会社の対応を不信に思い、外部へと通報して大きな問題へと発展する可能性もあります。

また迅速かつ適切に対応を済ませるためには、弁護士のサポートを得るのがおすすめです。通報を受けた時点で相談しておくことで、通報内容に応じて調査判断に関するアドバイスが望めます。

②調査の実施

①にて「調査が必要」と判断されたものについては、通報内容の真偽や被害の程度などを調査します。なお調査にあたっては、通報者が特定されないよう注意を払う必要があります。

例として、以下のような工夫を講じると効果的でしょう。

  • 定期監査と一緒に調査する
  • 抜き打ち監査を装って調査する
  • 通報があった部署以外もダミー調査する

③是正措置・処分対応

調査によって不正行為などの事実が発覚した場合、是正措置再発防止策などの実施のほか、該当者に対して処分対応を行うことになります。通報者が実名で通報し処分内容等の通知を希望する場合は、通報者にその概要を通知することも必要になります。

また、場合によっては「通報者に関する情報が漏れてしまい、それによって通報者が解雇されてしまった」などの事態へ発展する可能性もあります。そのような場合は、通報者に対して救済・回復のための対応を取ったのち、通報者の解雇に関与した者に対して懲戒処分などの対応を取る必要があります。

上記のほかにも、なかには「違反行為に関わった当事者自らが通報する(自主申告)」というケースも考えられます。その際は、さまざまな状況を考慮した上で処分減免などの対応を考えても良いでしょう。

内部通報窓口について弁護士に依頼するメリット

「内部通報窓口に通報があった場合の対応」でも触れた通り、内部通報窓口の整備・運用にあたっては、通報時の初動対応などもポイントとなります。なかには、以下のように損害賠償トラブルへと発展するケースもあるため注意が必要です。

飲料メーカーX社に勤めていたAが、上司Bによるパワハラを受けたことでうつ病を発症し休業。Aは復職後、内部通報制度を利用してBのパワハラ行為を通報したものの、コンプライアンス室長を務めていたCは「パワハラには該当しない」と判断。これを受けたAが、B・C・X社へ損害賠償を請求したという事例です。

裁判所は「Cによる調査・判断については適切といえるが、Bについては不法行為が成立するとともに、Bの使用者であるX社には使用者責任が成立する」としてAの請求を一部認め、BおよびX社に対して、損害賠償として約165万円および遅延損害金の支払いを命じました。(参考文献:2015WLJPCA01286007)

弁護士であれば、通報内容について対応検討・調査などを依頼することができるため、安心して通報対応を任せることができます。そのほかにも、窓口設置のアドバイス窓口業務の委託規定整備なども依頼でき、幅広い視点からのサポートが望めます。

また『平成 28 年度実態調査報告書』によると、社外に内部通報窓口を設置している企業の約70%が「弁護士に委託している」と回答しています。企業にかかる負担やリスクを少しでも小さくするためにも、弁護士に依頼した方が安心でしょう。

まとめ

内部通報窓口を設置しておくことで、企業における不正リスクについて事前対策を講じることができます。ただし「ただ窓口を設置しておけばよい」というわけではなく、通報者の保護体制や通報後の対応体制などを明確に定め、通報時に迅速に動けるものであり、かつ社員に周知徹底されていなければなりません。

対応にあたって不安があるという場合は、弁護士が心強い味方となるでしょう。

弁護士に相談することで、通報内容に応じた対応方法についてアドバイスが受けられるほか、窓口業務や規定整備などのサポートも望めます。また事務所によっては無料相談を受け付けているところもあります。まずは相談してみましょう。

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