休職期間満了時における解雇や退職とは?注意点も解説 |HR NOTE

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休職期間満了時における解雇や退職とは?注意点も解説

※本記事は、株式会社アシロの「企業法務弁護士ナビ」より語句などを一部修正したものを転載しております。

休職期間満了後も従業員が出勤できないようであれば退職もしくは解雇することも検討するかと思います。

多くの会社では、病気や怪我などで会社を休職しなければならない場合に備えて、就業規則により一定期間の休職制度が設けられており、休職期間満了時後にも出勤できない従業員への対応は、基本的にこれに従い退職や解雇することになるでしょう。

しかし、状況によっては、退職勧奨や解雇することが「不当解雇」に該当する可能性もあります。ここでは、休職期間満了時における解雇・退職における、概要や注意点、進め方についてご紹介します。

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休職期間満了による解雇や退職とは?

休職期間満了における解雇または退職」とは、休職期間満了を理由に、休職中の従業員との雇用関係を終了させ退職もしくは解雇することを意味します。

多くの会社では、従業員が急な病気やケガをして就労不能に陥った場合、一定の期間会社を休職できたり会社の命令で休職させたりする「休職制度」が設けられています。

休職期間満了時における解雇・退職の明記

また、休職期間が満了となるまでに職場復帰できない場合、雇用関係を終了することが就業規則に明記されています。ただし、明記されていないこともあり、その場合には双方の合意の上で労働契約を解約するか通常の解雇手続をとるかなどの対応が必要です。

具体的には、「休職期間満了までに復職できない場合は退職扱いとする」か「休職期間満了までに復職できない場合は解雇する」のどちらかが記載されている2つのパターンが存在します。

つまり、これらの就業規則上の取り決めに基づいて、休職制度が満了となった場合に退職または解雇扱いとなるのです。次章では、休職期間満了における解雇や退職の注意点を詳しくご紹介させて頂きます。

休職期間満了における解雇や退職の5つの注意点

ここでは、具体的に休職期間満了における解雇や退職に関して、おさえておくべき注意点を詳しくご紹介します。

1:不当解雇トラブルにならないようにする

不当解雇トラブルを防ぐためにまずおさえておくべきポイントですが、休職期間が満了までに復職できない場合の解雇や退職について就業規則へ記載されているのであれば、多くの裁判例では「退職扱いあるいは解雇は適法」と判断されています。

ただ、退職扱いの適法さは、休職期間がどの程度定められているかによるわけではありません。休職制度は法律に基づくものではなく、会社による任意の制度ですので、休職期間を3か月程度にしている会社も多く存在します。適法か否かは、休職期間の長さではなく、復職が可能か否かの判断が適切に行われたによります

しかし、退職強要やセクハラ、パワハラ、長時間労働、などによる精神疾患で休職となった場合は、例外になります。

【例外】精神疾患で休職になった場合

このような場合には、休職期間満了時の退職扱いや解雇は「不当解雇」と判断される場合があります。

休職制度は、業務上の原因によらないケガや病気を理由とする休職(私傷病休職)を認める制度であり、業務に起因する休業はこの私傷病休職とは異なり、法律上の規制もかかります。

具体的には、業務上の傷病による休業の場合はその休業中及び復帰後30日間の解雇が原則制限され(労働基準法19条1項)、労災保険の療養補償・休業補償等の対象となります(労働基準法75条以下、労働災害補償保険法)。

セクハラ、パワハラや長時間労働による精神疾患の場合には、業務起因性が疑われる場合が多く、業務上の疾患と判断されれば、休職制度に基づく解雇は不当解雇と判断されることになります。

ここに、休職期間が満了後に不当解雇と判断された判例を掲載いたします。参考にしてください。

休職期間満了時の解雇が不当解雇とされた判例

【東芝事件|東京地方裁判所平成20年4月22日判決】

東芝がうつ病にて休職中の従業員に対して、1年6ヶ月の休職期間を満了しても復職しなかったことで、実際に解雇をしたケースです。

この事件について、裁判所の判断は、解雇自体が無効であり、現在も雇用関係は継続しているとして、東芝に解雇されたことによって未払いとなっていた賃金及び慰謝料として「約2,900万円」を支払うよう命じました。

裁判所がこのような判断を下した根本的な理由としては、「法定時間外労働時間」が平均約90時間と認定されうつ病の発症は長時間労働が原因であるとし、会社の長時間労働によってうつ病となった治療中の従業員を解雇することは不当解雇に当たると判断したからです。

このような事実確認をスムーズに行うためにも、精神疾患をり患した労働者が生じた場合の対応フローについて会社として定めておくこが望ましいです。具体的には、

  1. 会社による受診命令権
  2. リハビリ出社の方法などの内部規定の整備
  3. 精神疾患に気付いた上司や同僚が相談又は報告できる窓口の設置
  4. 相談できる産業医や専門医を決めておく

などです。問題が生じた場合に迅速、適切な対応ができるでしょう。

2:退職金の支払い期限や退職理由を把握する

休職期間満了による従業員の退職に際し、会社が就業規則において退職金に関する退職金規定を設ける場合には、退職金の支払い時期について定めることが労働基準法によって義務づけられております(労働基準法89条3号の2)。

なお、支払時期の定めがない場合には、労働基準法23条が適用され、請求された日から7日以内に支払わなければなりません。

これは、休職期間満了における従業員の退職だけではありませんが、従業員が退職をする際には、しっかりと退職金の支払時期がどのようになっているのかを事前に確認しておきましょう。

退職金の支払いが遅れると、退職する従業員との間でトラブルに発展するケースがありますので、就業規則や退職金退定で退職金の支払時期を確認後、速やかに従業員にも連絡することをおすすめします。

なお、会社は、退職金を支給する場合には、適用される労働者の範囲、退職金の決定・計算及び支払方法、支払時期について、「労働契約締結時」に労働者に明示する義務があります(労働基準法15条1項、労働基準法施行規則5条1項4号の2)。

3:休職期間が勤続年数に含まれるかどうか確認しておく

多くの会社の退職金規定には、退職金の計算方法に「勤続年数」に関する項目が含まれています。当然のことですが、勤続年数が長くなればなるほど、支払われる退職金額も増えます。

そのため、退職金の支払いにあたっては勤続年数を正確に把握する必要がありますが、休職期間満了による従業員の退職の場合、この休職期間を勤続年数に含めるかどうかを事前に確認しておかなくてはいけません。

ただし、休職期間を勤続年数に含めるかどうかについては、法律上の規定は存在しないため、自社の退職金規定や就業規則から判断します

就業規則や退職金規定に特別記載がなければ、休職期間も勤続年数に含めて退職金を計算した方が良いでしょう。これらの対応を誤ると、退職者との間でトラブルになる恐れがあります。

4:退職理由が自己都合によるものか会社都合かを明確にする

休職期間満了における退職、もしくは解雇の場合、自己都合として扱うのか、会社都合として扱うのかについて、退職金規定や就業規則に定めがあるか確認しましょう。

というのも多くの会社の退職金規定では、退職理由が自己都合か、会社都合かによって退職金の支払額が異なります。

もし、特に就業規則や退職金規定に記載がなく、ハラスメントや過重労働が休職の原因でなければ、「自己都合」による退職として扱えばよいでしょう。

5:退職通知や解雇通知を適切に行う

休職期間が満了となり雇用関係が終了となる場合、従業員に退職や解雇通知を出しておかなくてはいけません。その際の通知書ですが、どのようなもので出すべきか就業規則の規定によって異なります。規定には大きく分けて

  1. 休職期間を満了しても復職できない場合には退職扱いとなる
  2. 休職期間を満了しても復職できない場合には解雇扱いとなる

といった2つのパターンが存在します。各通知書の書き方についてみていきましょう。

①休職期間を満了しても復職できない場合には退職扱いとなるパターン

この場合の通知の仕方の参考例は以下のようになります。

貴殿の休職期間は平成○年○月○日に満了となり、就業規則○条○項の規定により○月○日付で退職扱いとなりましたので、ここに通知致します

②休職期間を満了しても復職できない場合には解雇扱いとなるパターン

この場合の通知の仕方の参考例は以下のようになります。

貴殿の休職期間は平成○年○月○日に満了となり、就業規則○条○項の規定により○月○日付で退職扱いとなりましたので、ここに通知致します

また、従業員の解雇にあたっては解雇の30日前に「復職できなければ解雇になること」を予告して通知する必要があります。

もし、この通知を行わない場合には解雇予告手当を支給しなければなりません。詳しくは、企業労務問題を専門とする弁護士に相談しましょう。

退職者の雇用保険手続きの手順

休職期間満了の、従業員退職の際に雇用保険の手続きが遅れてしまうと、退職者が雇用保険の失業給付を受給できない状況になってしまいます。

このような事態になると、会社と従業員との間で、トラブルが発生するだけでなく、これが引き金となり訴訟問題に発展する可能性もあります。

雇用保険の手続きは以下の通りです。できるだけスムーズに行い、従業員が失業給付を滞りなく受給できるよう配慮しましょう。

①各書類をハローワークに提出

まず会社が「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を会社の事業所所在を管轄するハローワークに退職日の翌日から10日以内に提出する必要があります。

なお、退職した労働者が離職票の交付を希望しない場合には、離職証明書の提出は不要であり、資格喪失届だけを提出すればよいことになります(雇用保険に関する業務取扱要領21452)。

②ハローワークから離職票が返送

次に、ハローワーク側が「離職証明書」の中から、「離職票」の部分に必要な記載と捺印を行い会社に返送します。

③退職者へ離職票の交付

ハローワークから返送された「離職票」を会社側が退職者に交付します。

④退職者が離職票をハローワークに提出

次に、退職者は退職者の住所を管轄するハローワークに離職票を提出します。

⑤ハローワークは失業給付金の給付日数を決定

退職者の住所地を管轄するハローワークが、離職票を確認し、そこに記載されている情報をもとに、失業給付の給付日数を最終的に決定します。

このような手続きは、休職期間を満了し退職扱い解雇扱いとなる従業員だけでなく、通常の退職や解雇の場合でも同様です。

休職期間満了に該当する従業員への社会保険給付とは

ここでは、休職期間満了により退職となる従業員に適用できる社会保険給付についてご紹介させて頂きます。

休職期間満了により退職となる従業員がいる場合には、ぜひ事前に確認しておきましょう。

健康保険の傷病手当金制度

健康保険の傷病手当金制度とは、業務外の事由により、病気や怪我になり仕事が困難となった従業員に対して、最長で1年6ヶ月、健康保険から傷病手当金の支給を受けることが可能です。

傷病手当金の支給開始から、1年6ヶ月が経過していない時点で、退職となった従業員がいる場合には、会社を退職となった後でも、支給を受けられます。

なお、傷病手当金制度を利用した場合の支給額ですが、在職中の給与の3分の2程度が目安ですので、参考にしてください。

障害年金制度

病気により仕事ができない事態となった場合には、一定の要件を満たしたのち「障害年金」という国の定める年金を受給可能です。

受給をするためには、最初にその病気によって病院を受診した日の前日において、年金加入期間の3分の2以上の期間、保険料を支払っていたこと、また、病気の程度が国規定の条件よりも重いことなどが挙げられます。

会社員の場合には、厚生年金に請求となるケースが多いです。

雇用保険の失業給付

解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇ではない会社都合)扱いの場合は「特定受給資格者」に該当し、離職者は3ヶ月間の給付制限なしで給付日数について優遇を受けて失業給付を受給することができます。

他方、退職事由として休職期間満了を定めている場合は、「正当な理由のある自己都合により離職した者」として、「特定理由離職者」に該当し、離職者は3ヶ月間の給付制限なしで失業給付を受けることができますが、給付日数についての優遇はないため、最大150日となります。

失業給付の支給額は、退職前の給与の5割から8割程度と判断しておきましょう。

注意点としては、失業給付は仕事ができる状態にあるけれども、仕事が見つからない人のための給付です。上記の例でいえば、退職後に傷病手当と雇用保険を同時に受給することはできないことになります。

休職期間が満了し、退職する従業員がいる場合には、会社側はこれらの社会保険給付についてしっかりと案内することが重要です。

まとめ|休職期間満了における解雇トラブルは弁護士へ相談しよう

休職期間満了における従業員の退職や解雇は、その段取りから念入りな準備が必要です。休職期間満了における不当解雇等のトラブルを防ぐためには、退職規定や就業規則に休職期間が満了した場合の従業員の解雇について明記し、解雇予告や社会保険給付の案内など、スムーズに手続きを行うことが重要です。

自社判断で、これらを行おうとすると、かえって会社側が不利に働くことがあります。事前に、解雇トラブルの専門家に相談しておきましょう。専門家に相談することで、解雇トラブルのリスクを軽減できます。

この記事の監修者

弁護士法人東京スタートアップ法律事務所
中川浩秀 (東京弁護士会所属)
ゼロからイチを始めようとする起業家のさまざまな悩みに対応。自身の起業経験を活かし、スタートアップ、ベンチャーの業界に精通した柔軟な対応が可能。

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